Corso_Shokunin

サイト制作日 2008-01-30 /サイト更新日 2012-01-21

Corso Artigiano KENZO

SHOE CREATING & IDEARS WITH KIGOSHI METHOD

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コルソ アルティジャーノ ケンゾーが職人育成をする理由

私たちは靴づくりを職業とする専門家です。現役で靴メーカーの企画のお世話をしたり、靴企画問屋から木型の発注を受けたりしている、実際の業界人です。私たちが今、心配しているのは勿論この業界の事。ここ数年の靴業界の激変によって、私たちの周りでも数多くの人たちが靴を作れなくなっています。製造する職人がどんどんいなくなっているのです。
原因は生産基地の移転による産業の空洞化と、生産者の高齢化がありますが、もう一つ原因があります。
それは必要とされる仕事の質の変化です。
量産性のメーカーは海外に仕事を取られて苦労する一方、高級品の扱いに慣れたセンスのあるメーカーは逆に仕事が追いつかない程の受注を抱えています。技術とセンスを持った職人には仕事があるという事です。
しかし、元々こうした技術とセンスを持った職人、メーカーは小規模で少数職人体勢なので、注文が集中するとすぐにキャパを越えてしまいます。
国内の高級靴需要は靴店からセレクトショップへと販売先が変わりつつあり、トータルファッションで販売する事の出来るアパレル系のショップからの需要は更に増える事が予想されます。
そうした需要に対応する為にも、実際に靴を作る若い職人が嘱望されているのです。

需要に合わせた職人像

景気が悪いという雰囲気が蔓延し、以前のように商品が売れなくなったために、問屋やメーカーは限度一杯まで利益を圧縮し、なるべく買いやすい価格の商品を作る事に専念しています。加えて消費者の好みは年々多種多様になり、商品デザインは複雑になって生産効率が落ちているため、大手は生産効率向上のため、生産拠点は中国やアジアの安くて大量にある労働力に頼らざる終えなくなっています。
勿論不景気な時には価格が安い物の方が売り易く、利益を追求する企業には不可欠な事。
でも、本当に買いやすい靴だけで良いのでしょうか。
例えば靴は嗜好品だと考えると、高い安いではなく欲しい靴を買うでしょう。買い物のモチベーションが上がったタイミングに丁度良い商品があれば、少しくらいの価格差は関係なくなります。その場合重要なのは買いやすいかどうかではなく、商品が醸し出す品質の良さであるとか、事象を捉えているライブ感であるとかいった無形のものがちゃんと詰まっているかどうかです。
消費者の審美眼はバブル期以降大きく熟成し、単に安いから買うという単純な消費は終わりつつあります。靴以外でも味わいや、安全や、快適さなどを求める傾向が強くなりつつあります。
さらに食の問題で危機感があるように、海外生産の危うさを懸念し、国産にこだわるメーカーもあります。
海外生産の商品管理の難しさとともに、いつまでも安いとは限らないと考えています。
国産に誇りを持っているメーカーも少なからずあるのです。
実際に国産を求めるショップ側の傾向は一段と強くなりつつあるようです。
高級な皮革素材をイタリア、フランス、イギリスなどから調達する場合、
逆に国産の方が安くすむ場合もあります。
だとすれば、まだ国産でも出来る事はあります。
魅力のいっぱい詰まった、人に大事にしてもらえる靴。
そんな靴を作るにはどうしたら良いのか。

それには「創造する職人」がこの業界で育つことが必要です。

プロトタイプ職人になる

企業のデザイナーは優れたセンスとアイデアを持っているのに、それを具現する技術者は僅かです。そのため選択肢の少ない素材や技術の中で苦労しています。
専門店はお客様と一番近い接点にいて、お客様の欲しいものを一番分かるはずなのに、なかなかそれを揃えて提供する事が出来ていません。
業界にはこれらを補助し、或いは技術を開発し、又は積極的に世界へ出て行ってアイデアや技術やイメージを吸収してくるような職人が必要です。
デザイナーが考えたアイデアを豊富な知識で表現し、よりイメージに近いプロトタイプを作る舞台裏のプロフェッショナル。
私たちダッシュカンパニーもメーカーや問屋、あるいはお店の方々の為の商品のプロトタイプを製作しています。
例えば海外で生産をする場合、日本側の企画者がしっかりしたプロトタイプと生産指令を作ることで、リスクの少ない生産依託が成り立っています。(勿論それに加えて現場管理も必要ですが)

生産(流れ)職人になる

あるいは、プロトタイプ製作専門でなくとも、量産をしながら見本をまかされる職人もいます。量産性の作業をこなしていくのもそれはそれで技術と効率を兼ね備える必要があります。安定した技術と生産力を生み出すには、何人かで分担して作業する場合もあり、それは漫画家の作業に似ています。ベタを塗り、トーンを貼り、背景を書く。量産性の漫画家はキャラクター作画に専念して、その他の作業を職人さんに任せたりする事があります。
靴の製甲などの仕事も、漉き、ラバー塗り、折込み、組み立てなど作業分担をして、最後に上げミシン(組み立てる際にかけるミシン)をメインの製甲職人が掛けて仕上げます。
勿論全てを一人でまかなう事も出来ますが、分担作業の方が効率がよく、疲労感の軽減や作業時間短縮によるゆとりが生まれます。また、そうした個々の作業は単純作業なのでアルバイトやパートなどに任せることも出来るでしょう。

個人の個性を伸ばす

靴という商品は機能性のある実用品であり、時流を映し出すファッションアイテムであるという、異なる二面性を持っています。
実用品的には、企業的な信頼性とトレーサビリティが必要で、ファッションアイテム的には個性と隠された魅力のようなものが必要です。
どのように作っているかを公開する必要がある反面、消費者の夢を壊すような事は避けねばなりません。
その問題を解決するのがブランド力であり、スタイルです。
ブランド力というのは企業の力もさることながら、個人の個性の表れです。
一つのブランドが成功するには、極端にいえば一人の天才が不可欠ですが、
それを量産化していくには、様々な人々が携わっています。
そうして、それぞれの人々が一つの企画に沿って個性を折り込む事で、商品は磨き上げられます。
そこにこそ、これからの職人の道があると思います。
それを実現するのはデザイナーではなく、職人の力です。
没個性にならず、個性を職人の技として商品に折り込んでいく。
昔ながらの職人でも、サラリーマン的な作業を繰り返す工員でもなく、
企業的でもあり、個性的でもある職人。スタイルを構築する職人。
国際的な市場で競うこれからの国産品には、職人の個性が必然です。

コルソアルティジャーノケンゾーは、はこうした「創造する職人」を育てる職人塾です。実際にダッシュカンパニーがおこなっている日々の仕事を間近にみる事で何よりもまず業界に触れ、職業としてゆく厳しさを実感出来る、実践的な職人教育を目指しています。

創造する職人

現代の職人を育てる

DSC_7004b.jpgなんでもお金で買えるような現代では、逆に目に見えない、お金で買えないような実感を欲しがっている人が沢山いるようです。趣味と仕事は別だと考えるのも正しいのですが、もし自分の趣味に近い事が仕事になったら、それ以上に楽しい人生は無いでしょう。自分の力を信じて技術を磨き、一人で生きる力を身につければ充実した生活が出来るでしょう。
そうはいっても飽食の世代に生きる若い人たちに辛抱、我慢、忍耐などを強要する従来の職人教育は根付きません。そのかわりに必要なのは、ものづくりをする楽しさを実感出来る事や、達成感を得られる仕事に付く事、自分を表現出来るステージを常に持つ事です。常に技術向上に努めれば、良い仕事に恵まれるようになり、自分の地位も向上する。そうして様々なリクエストを受けて、何も無いところから形を生み出してゆく。そんな姿勢があれば、いつまでも仕事に対するモチベーションを落とさずに仕事に従事する職人になれるでしょう。また、自らオリジナルを作り出し、商品として社会へ供給する事も出来るでしょう。
そうした職人が作り出す商品が日本の靴のレベルアップに貢献し、更にはジャパンブランドがしっかりと地元に根付いた生産システムから羽ばたいていくように願っています。

靴作りの職人について

型紙職人

型紙(パターン)は靴の設計図のような物で、木型と紙、テープその他を使って制作する。(木越メソッドによる型紙:現在主流はアルカ等デザインテープなどを木型に貼り、その上から靴のデザイン線を書き込んだものを剥がして型紙を取る方式だが、木越式はデザインテープを使わず、更に効率の良い不織布等を用いて型紙をとる方式である。木越式では1)革は繊維物であるため弾力があり、曲面に沿うが、デザインテープ等は主に紙で作られており、曲面の誤差を吸収できないため無理がある。不織布はその点革と同じように弾力があり、無理の無いライン取りが出来る、立体的な製甲を可能にする。2)デザインテープは接着力が強すぎて扱いにくいが、木越式はこの点ラバーによる接着なので扱い易く作業性が良い。3)価格が安い。などの点で作業効率をアップし、立体裁断による靴型紙製作を完全に行う事が出来る。)原型を採った後、組み立てる為のマージンや折込みのマージンなど、様々な設計を施して決め型や裁ち型等を作る。型紙はその生産工程をも考えて作られ、それぞれの工場にあった設計をする必要がある。その先の工程で可能な限り誤差を出さないためにも型紙職人はミクロン単位で型紙補正を行っており、靴作りにおいて最も重要なパートの一つである。

裁断職人

裁断とは型紙に従って甲、裏になる革を裁断する職人である。革は本来天然物であり、例えば革一枚の表面感や風合い、繊維の構造は不均一であるがために、靴の出来上がりを考慮して適切な部位を適切な部品で裁断しなければならない、非常にデリケートな作業である。高級靴の製造では現在でも手裁断(ナイフで1パーツづつ切り出す)であるが、老齢化により職人は減少している。現在主流の裁断は、裁断型(ダイス)という、特殊な金属をパーツ型通りに作った物を使い、クリッカー(打ち抜き機)を使ってクッキーの方のように押し切る方法が主流である。手裁断との違いはその切り口にある。押し切る形では、どうしても切り口がつぶれてしまう。折込み等を施す場合は問題ないが、紳士物の、例えばアノネイなどの革を使う場合、切り口は靴の風合い、メリハリを表現する為に重要な部分であるので、ナイフで切った切り口の上がりが重要になる。また、この裁断型は消却品であり、現在のように多品種小ロットの製造が主流になりつつある国産製造業では、コストが出ない場合が多い。近年CADCAM自動裁断機等(当社姉妹 エスプレッソDWSなど)で抜き型を使わない多品種小ロット向けの裁断方式が実用化されている。

製甲職人

製甲とは靴製作のうち、甲にあたる部分を製造する工程であり、
主にミシンによるパーツ組み立て作業である。製甲師は通常、型紙、裁断、漉き、部品加工(折込み等)、ミシン掛け等に一通り通じている必要があるが、通常は裁断された革部品を加工、ミシンによる組み立てをするのが主な仕事となる。

底付け職人

ここでいう底付け職人はハンドソーンの職人ではなく、セメンテッド製法(接着剤で組み立てる製法)以降の職人の事を指す。現代の靴作りでは十分に強力な接着剤があり、わざわざ縫い付ける必要が無いのかもしれない。吊り込みは元来手縫いモカ、ハンドソーンに始まり、機械が発明されてからはマッケイ、グッドイヤー、ステッチダウン等ミシンで底付けする方法が発明されてきたが、全てはミシンで底材を接合する必要があった為に出来た方法である。
当時は現在ほど良い化学合成接着剤が開発されておらず、弱い接着剤だけでは実用にならない為に底材と本体を縫い合わせる必要があった。強力な接着剤が出来てからは、セメンテット製法が主流になり、それ故に婦人靴は現在のような華奢な美しいラインの靴が作れるようになったとも言える。科学技術がファッションに貢献している例である。
勿論ハードな仕様の靴やそれなりに意味がある場合、機械を使って底材を縫い付ける方式は今でも効率的で有効な製靴方法の一つである。
ミシンで縫われた底材の場合は、ミシン目を外す事で底面を貼り替える事が出来、靴が高級品であった当時は貼り替えによって長く使う事が一般的だった。現在のようなコンクリートやアスファルトの路面を歩くだけの場合は、合成ゴムやウレタンの底の方が歩き易いのかもしれないし、履きつぶす事も普通に行われている。
資源の有効利用というよりも、嗜好品としての靴を大切にする為ならば、その習慣は過去に戻った方がいいのかもしれない。
底付け職人は本来底材を作るところから始めるのだが、現在では材料メーカーで作られた底材、中底、先芯材、カウンター等を使って製甲と合わせて靴に組み立てる作業をするのが普通である。日本では現在も手吊り職人と機械吊り職人がいて、手吊りの方が高級というイメージがあるが、例えばイタリアの高級靴の殆どは機械吊りである。高度経済成長の時代に整備されたトゥラスター(吊り込み機)は当初アメリカで量産的に使われたのに対し、それを逆輸入したイタリアでは高級品を作る為に改良を重ね、現在のようにデリケートな生産も出来るようになった。日本では未だにこの量産的なトゥラスターの使い方をしている場合が多いが、それらは殆どがイタリアで使われている物と同じであり、高級品に使っていないだけである。こうして木型に甲革を載せ、中底と本底で挟み込んで接着して完成する。